粒子サイズ分布分析に関するガイドライン

英語版のガイドラインは、PDFファイルとして、ここからダウンロードできます。
IVHHN GSD Guidelines.pdf

はじめに
分析前の試料の準備
粒径分析の方法
補足
参考文献


はじめに

粒径分布(GSD = Grain-size distribution)の分析は、火山灰の健康への悪影響を評価する上で不可欠な作業です。 これによって、試料全体に占める吸入可能粒子(4μm以下)と10μm以下の粒子の量が得られます。 どのような噴火であっても、いくつかの別々に採取された火山灰試料について分析を行う必要があります。 粒径分析は、例えば、ある町の被害を評価するために、特定の場所について行うということも、ある噴火で発生した細粒火山灰の総量と分布を決定するために多くの場所について行うということも可能です。 後者の場所、遠方は一般的に近くの場所よりも細かい粒子が多いので、総量と分布を決める場合には、分布軸に沿った場所を優先しながら、多くの場所で火山灰試料を集める必要があります。 結果として得られる粒径分布は、全粒径分布を求めるために"加重平均"を使って平均化します(方法は補足1をご覧ください)。 この最終的な分布は、ある特定の火山の代表値とみなすことができます。 粒径分布解析の手法は、適切さや技術水準、コストに関して様々なものがあります。 最も一般的に使われている手法を下にまとめてあります。


分析前の試料の準備

不均質な組成と粒径を持つ粉体に関しては、代表的なサンプルを得ることが本質的な問題となります。 特に、取り分けた試料が数ミリグラムしかない場合に、この問題は顕著です。 サイズの分析をする前に、利用する試料がすべての試料を代表するものであることを確認することが重要です。 Horwell(私信)によると、試料を十分にかき混ぜるには、火山灰の入った密封容器を数回、ひっくり返すだけで十分であるということです。 ただし、この試料を取り分ける前に数分間、放置して、細かい粒子を沈降させる必要があります。 ほかの方法としては、次のようなものがあります。 1) 円錐四分法; ナイフを使って試料を4つの山に切り分けます。 その上で、向かい合った2つの山を取り除いて袋に詰め、残りの2山を再び円錐状にするという手順を適切な量の試料が得られるまで繰り返します。 この方法では、取り除かれた山の微細粒子が切り分けた境界に取り残される可能性があります。 また、作業者が細粒な火山灰に曝露される危険性が高いです。 2) 回転分割機法; ゆっくりと回転する20の受け皿につながっている軸に沿って、火山灰を振動させながらゆっくりと落とします。 それぞれの受け皿を、軸の下を(分離させる試料の量に依存しますが)最低20回通過させて、火山灰を受け皿に落下させます。 それから、受け皿の一つを回転台から外して、中身を紙の上に出して、かき混ぜます。 そして、粒径分析のために試料を取り出します。 3) リッフル箱法; 乾燥粉体を、分割装置の入った箱に流し込むものです。 2と3はどちらもよい手法なのですが、装置の入手が困難です。


粒径分析の方法

レーザー回折式分析(低角度レーザー光散乱)

粒径分布解析において最も時間効率が良く、確実性の高い方法は、レーザー回折式分析装置を使うものです。 マルバーンマスターサイザーやコールターLS粒径分析装置、マイクロトラックS3500分析装置など、多くのレーザー回折式分析装置が市販されています。 レーザー回折は、光散乱理論を用いて、(装置によりますが)おおよそ0.1µmから2000µmの直径を持つ球と同等の粒子サイズを検出するのに利用されます。 正確な測定を行うためには、検出する物質の屈折率と吸収率が分かっている必要があります。 Horwell (私信)によると、安山岩質の火山灰試料については、屈折率1.56、吸収率0.1が適しているということですが、これらのパラメータは、調べる火山灰そのもののについて個別に測定を行うのがよいでしょう (屈折率の測定と計算の方法については補足2をご覧ください)。 粉体のレーザー散乱による測定は、 空中でも水中でも行うことができます。 水と超音波処理を利用することで、凝集作用を軽減することができます。 一つの試料を測定するのに約5分かかります。 試料は乾燥させて、直径2000µm(2mm)以上の粒子をふるいによって取り除く必要があります。 レーザー回折式の分析は、高額になる可能性があります(機器購入費用は約6万米国ドル)。 マルバーンやコールターなどの企業は、1サンプルにつき約150米国ドル(複数の場合は、割引あり)で分析してくれます。 また、レーザー回折式分析装置は、ヨーロッパや米国の大学では地理学や環境科学の学科で広く導入されています。
 

ふるい分け

ふるい分けは、簡単、手軽かつ安価であり、物理的な大きさだけを基準に粉体を分類するときに広く使われる方法です。 この分類では、他の物理的もしくは化学的な性質は考慮しません。 金網や穴を開けたプレートで作ったふるいを、目の大きさが大きいものから小さいものへと順番に使います。 ふるい分けは、人の手でやることも機械式の振動台を使うこともあります。 ふるい分けの結果に影響する重要な要因は、粒子の形状や、超微細粒子の存在、ふるいに入れる最初の量、 振動する時間と方法、ならびに粉体の凝集などがあります。 これらの要因のため、再現性が悪いことが多いです。 火山灰試料は、最初にオーブンで(40℃以下で24時間)乾燥させる必要があります。 その上で、最低でも1Φスケールおきに、63µm以下(4Φ)までふるい分けします (ファイスケールにつては補足3をご覧ください)。 レーザー回折式分析と併せて使う場合には、 試料をふるい分けする必要があるのは2mmまでです。 この手法の不利な点は、63µm以下をふるい分けするのが難しいということと、ふるい分けをしている間に空気の擾乱で細かい部分の多くが失われやすいということです。 乾式のふるい分けの代替法として、湿式のふるい分けがあります。 この方法では、サイズに関する難点のいくつかは軽減されますが、再現性は悪いです。 粒子の形状が変則的な場合には、問題が生じることがあります。 例えば、細長い粒子は、ある方向ではふるいの目を通りますが、他の方向では通らないということが生じます。 また、扁平は粒子は、同じ体積を持つ同程度の大きさの粒子を簡単に通すふるいの中に残り続ける可能性があります。 乾式・湿式両方のふるい分けにおいて、粒子がふるいの目を通るかどうかは、 ふるう時間や(例えば、軽くたたくなどの)ふるう方法に影響されます。 ふるい分けは、SediGraph法のようなほかのサイズ選別方法の前に行われることが多い手法です。 ふるい分けは、試料中の吸入可能物質(4µm以下)の量を評価するのに適していません。 しかし、微細粒子のおおよその量の見積もるためには、手っ取り早くて良い方法だと言えます。 特に、分析コストが安価であることの優先順位が高い状況では最適です。 利用できる方法がふるい分けだけの場合は、ふるいをすみずみまできれいにしておくことと、 破損がないかを定期的に調べることに注意を払う必要があります。
 

沈殿法

沈殿法は、ストークスの法則に基づいています。 ストークスの法則とは、粘性流体中を重力などの加速度の影響を受けながら沈降する孤立球の終端速度を記述するものです。 沈殿法は、累積法でも増分法でも分析できます。 累積法では、粒子沈降の割合は、典型的な場合、ある時間間隔に、ある深さを沈降した粒子の質量を測定して求めます。 増分法では、物質の濃度もしくは密度の時間変化を、ある深さにおいて、通常、可視光またはX線を使って測定します。 沈殿法は、2µmから50µmの範囲にある粒子に最も適しています。 したがって、火山灰試料全体を分析するには適当ではありません。 また、物質の密度を知る必要がありますが、火山灰は、様々な密度を持つ鉱物によって構成されていますので、 平均密度を使うことによって結果の精度が悪くなることがしばしば生じます。 粘性を一定に保つために、温度を正確に制御する必要もあります。

累積法による試料の測定は、標準的な実験室で、ほとんど費用をかけずに行うことができます。 直径数µm以下の粒子は沈降時間が非常に長い(数時間)ため、その重力沈降は実用的に測定しやすい値に制限されています。 遠心分離機を使って加速度を大きくして、実験をスピードアップすることもできます。 ストークスの法則は、一定の体積または表面積を持つ形状の中で最もコンパクトである球に対してだけ成り立つものです。 たいていの火山灰粒子は、球よりも表面積が大きく、したがって、球よりもゆっくりと沈降します。 ストークスの法則は、重力沈降についてのみ当てはまるものであり、ブラウン運動の影響を受ける粒子には適用できません。 例えば、直径0.5µm以下の粒子では、補正項を用いない限り、誤差が100%を超えます。 50µm程度より大きい粒子も、ストークスの法則で予想される速度よりもゆっくりと沈降します。 サイズの上限は、粒子の浮遊している流体の粘性を大きくすることによって、大きくすることができます。 遠心力による沈殿の基礎となる原理は、重力沈降の場合とだいたい同じですが、 粒子の速度が回転中心からの距離とともに大きくなるので、形状の計測ならびに計算はより複雑になります。

沈殿増分法は、マイクロメトリックス製のX線SediGraphなどの装置を使うことで行うことができます。 この方法では、ストークスの法則を利用して粒径分布を計測します。 試料を流体中に浮遊させ、ある時間に沈降する質量を通常、軟X線で検出します。 この方法は、広い粒径分布に対して利用可能ですが、一つの試料の中での形状や密度のばらつきの 影響を受けやすいという性質があります。 SediGraphは、X線の細い水平ビームを使って、媒質中の粒子の相対質量分率を直接測定するものです。 1回ごとの質量測定は、残存している微細粒子の累積的な質量分率を表します。 SediGraphは、液体の密度、粘性、粒子の密度が分かっているという条件の下で、ストークスの法則を適用して、 速度測定から粒径を求めることもできます。 X線ビームの試料セル上端からの距離と、 質量計測にかかった時間に関する情報を基に、相対質量の計測ごとに、沈降速度を求めます。

顕微鏡分析

  • 走査型電子顕微鏡(SEM=Scanning electron microscopy)は、様々な粒径範囲ごとの粒子数を数えることができます。 この技法は、降ってきた火山灰全体の評価とは対照的な、空中フィルターで採取された試料の 粒径分布を評価する場合に特に威力を発揮します。 この評価は自動画像分析によって行うことができますが、 その場合、粒子の凝集による大きな誤差を引き起こします。 手作業は、時間のかかる方法ですが、次の方法を使うことでスピードアップすることができます。 まず、例えば2000倍程度の倍率の視野を選んで、1µmごとに区分けして直径5-10µmの粒子すべてを数えます。 次に、4000倍の倍率で、2-5µmの粒子すべてを数えます。 同様に、6000倍に拡大して、直径2µm以下の粒子の数を数えます。ただし、直径=一番長い軸の長さ(最大軸直径)です。

SEM Analysis of GSD

この作業を少なくても10視野で繰り返します。 2000倍の視野の粒子すべてが数えられたとするように、倍率に応じて適切な係数を掛けます。 このようにすることで、データから割合を求めることができます。 レーザー回折のデータと比べるために、このデータは、体積分率に変換する必要があります。 また、レーザー回折のデータは、等価球直径から最大軸直径へ変換します。 このためには、粒子の平均縦横比が必要になりますが、これは画像分析から簡単に求めることができます。 Horwell(私信)によると、この技法は、レーザー回折法と同じくらい正確ですが、より作業が多く、 もし装置が利用時間に応じた料金が必要な場合は、費用も高くなる可能性があるということです。
 

  • 自動化された顕微鏡画像解析技法(例えば、Pharmavision 830)では、粒径と粒子形状についての信頼できる繰り返しのルーチン化された特性分析が可能です。 粒子形状の情報は、数千の粒子の分析によって得られます。 表示された粒子のサイズと形状のデータは、全粒子の画像から得られたものであり、 この画像は、測定データを視覚的に理解するために、より詳細な情報を生み出すことも できます。 粒子形状のわずかな変化の影響の分析をしやすくするために、 いくつかの形状パラメータは、それぞれの粒子について計算されています。
     

電気的検知帯法

電気的検知帯法は、コールターの原理に基づいています。 この方法では、粉体は電解質(すなわち、導電性媒体)中に非常に低濃度で分散されています。 この電解質を小さな隙間から、両側に電極を配置した絶縁体の壁に引き込みます。 それぞれの粒子が隙間、すなわち、検知帯に入ると、 電圧が発生して、粒子によって移動させられた媒質の体積によって、 隙間の断面の電気抵抗の測定値を変化させます。 この抵抗に伴う変動の振幅は、粒子の体積に比例します。 この変動を時間積分して、粒径分布を求めます。 測定したい大きさの範囲に応じて、隙間の大きさを変えることができます。 粒子の向きに関する問題は、変動のピークの面積を測定することで解決できます。 粒径の分布範囲が比較的、大きい物質については、この方法では、隙間の大きさを変える必要があり、 また、小さな隙間が詰まる恐れもあるので、時間がかかります。 多孔質の粒子では、2つまたはそれ以上の粒子が検知帯を同時に通過する可能性があるので、 大きな誤差が生じます。


一般的に、これらの異なった手法は、微妙に異なった性質を測定しており、 したがって、必ずしも直接比較できるというわけではありません。 もし、2つの異なった技法を、同じ試料の異なった粒子サイズ範囲について使うのであれば、 補正ができるように十分に重複する範囲を取って、お互いの手法による結果を一つにまとめられる ようにする必要があります。


補足

補足1- 降下火砕堆積物の全粒径分布の計算

  1. 重み付き平均。重み付き平均は、変数の値の頻度だけでなく、”重み付け係数”も考慮に入れて計算した平均のことです。 ここでの場合、”重み付け係数”は、ある場所における堆積物の厚さまたは、単位面積当たりの質量のどちらかです。 それぞれのサイズについて観測された厚さ、または、単位面積当たりの質量のそれぞれの値が足し合わされた後に、全体の厚さまたは単位面積当たりの質量で割ります。 そして、全体を100倍します。
  2. ボロノイ分割。これは、離散的なデータ点の集まりで構成される任意の集合について、ある特定のデータ点に関連したセルが、ほかの点よりもその点に近い空間上の領域すべてを含むような平面の領域分けを行う空間解析手法です。 ボロノイ分割法によって、任意の領域を導入することなしに非一様なデータ集合を扱う全粒径分布計算のための統計的な解析が可能になります。 このような手法を用いることで、異なった研究者によって分析された異なった降下火砕堆積物どうしの比較が、より整合性の高いものになります(Bonadonna and Houghton 2004)。 様々な種類のボロノイ図を作成するための数百もの異なるアルゴリズムが存在します。 降下火砕堆積物の全粒径分布を計算するためのデローニー三角分割に基づいたMatLab関数を、IAVCEIの火山灰降下災害モデリングワーキンググループのウェブページ: http://www.soest.hawaii.edu/IAVCEI-tephra-group/grainsize.htm からダウンロードすることができます。

補足2- 屈折率の計測ならびに計算

光散乱理論では、粒子サイズを計算するために、粒子の光学特性を利用します。 したがって、試験を行う粉体の性質に関する正確なデータを準備することが重要です。 火山灰は、不均質で、斜長石、結晶性シリカ、火山ガラス、角閃石、輝石、酸化鉄など、すべて異なった屈折率(RI=refractive indices)や吸収率(鉱物がどれくらい透明か不透明か)を持つ鉱物から構成されています。 また、これらの鉱物は、異なった火山灰試料には異なった割合で含まれています。そのため、火山灰試料の平均的な光学特性を正確に見積もるのは困難な作業です。

屈折率は次のように計算します:

m = n - ik

ここで、 i = √ -1

屈折率の虚数成分であるkは、各物質の光の吸収率に関係しています。 非吸収性(すなわち透明な)粒子では、k = 0です。 屈折率の実数部nと虚数部kは両方とも波長に依存します。 散乱は、粒子と周囲の媒質との屈折率の違い(または、不均質な粒子内部での屈折率の変化)によって生じます。 したがって、散乱モデルを使って特定の散乱パターンを作る粒径分布を計算するためには、まず、粒子と媒質両方の複素屈折率を知る必要があります (通常、媒質はk = 0となるものを選びます)。

かつては、火山灰については、安山岩の値である1.63という屈折率が使われてきました(C. Bonadonna and W.I. Rose, personal communication)。 この屈折率は、リモートセンシングで用いられてきた値から引用されたものです。 リモートセンシングでは、赤外放射について適切な値が使われており、レーザー回折で必要な屈折率よりも大きな値となっています (屈折率は、利用する光の波長によって変化します)。 より一般的な鉱物(しばしば斜長石が用いられます)の光学特性を使う方が、精度が良いかも知れません。 火山灰中の個々の鉱物の屈折率の値は、下の通りです。(Kerr 1977):

火山で一般的な鉱物の屈折率
鉱物 屈折率
火山ガラス 1.48-1.61
クリストバライト 1.484 (α), 1.487 (γ)
斜長石(ラブラドライト) 1.555-1.563 (α), 1.562-1.571 (γ)
角閃石 1.614-1.675 (α), 1.633-1.701 (γ)
単斜輝石(オージャイト) 1.688-1.712 (α), 1.713-1.737 (γ)
斜方輝石(エンスタタイト) 1.650-1.665 (α), 1.658-1.674 (γ)
尖晶石 1.72-1.78

上の表から、平均的な斜長石の値を1.56と推定することができます。

火山ガラスの組成は広い範囲で変化するため、 上に示した屈折率も他の鉱物と比べて広い範囲に及びます。 ガラスの屈折率は、古典的なベッケ線法を使って測定することができます。 粒子をスライドグラスの上に載せ、屈折率が分かっている液体を数滴垂らします。 鉱物と液体の屈折率が違う場合には、偏光顕微鏡で観察したときに、ベッケ線と呼ばれる 明るい線が粒子の端に見えます。 対物レンズを上下させたときに、この線が見かけ上、鉱物側に動くか、液体側に動くかで、 鉱物と液体のどちらが高い屈折率を持っているかを決定します。 粒子をいくつかの液体に入れて、粒子と液体の屈折率がほぼ同じでベッケ線が見えなくなる ものを見つけるまで続けます。 対物レンズを上げるか、ステージを下げたときに、ベッケ線は高い屈折率の媒質側に移動します。

試料の平均屈折率は、分析する火山灰試料の鉱物の割合を反映させるように調節して、 組成鉱物の屈折率を足し合わせることによっても見積もることができます。 計算例を下に示します。

鉱物割合と鉱物それぞれの屈折率を考慮に入れた スーフリエールヒルの火山灰の平均屈折率の計算結果 (上に示したKerr 1977、火山ガラスに関してはベッケ線法によるもの)
鉱物 重量 % 平均屈折率 重み付き屈折率
結晶性シリカ 14.7 1.49 0.22
火山ガラス 21.4 1.53 0.33
斜長石 48.6 1.56 0.76
輝石 8.9 1.69 0.15
角閃石 3.9 1.66 0.06
酸化物 2.5 1.75 0.04
総計 100   1.56

 

上の表より、スーフリエールヒルの火山灰に用いるべき屈折率として 最善の方法で得られた2つの見積もりは、どちらも1.56ということになります。 屈折率1.56と1.63を使ったレーザー回折による粒径分布の比較では、 結果に顕著な違いは見られませんでしたが、1.56の方が、安山岩火山灰の試料に関しては、 より正確であるようです。 ここで推奨したような手順で、 測定されたすべての火山灰試料の屈折率を決めることを、私達はお奨めします。

火山灰の標準的な吸収率として、0.1(ほとんど透明)が使われてきました。 吸収率の影響は、粒径が小さくなるほど大きくなります。 大雑把に言って、より暗い、もしくは、より色が濃く見える種類のものは、 より吸収率が高いといえます。 純度の高いアルミナのような白い粉は、k = 0です。 例えば、安山岩の火山灰は、一般的に灰色をしており、 吸収率が比較的低い値(k = 0.1)であると予想することができます。

補足3 - ファイ(Φ) スケール

Φ = log2 mm

ファイ(Φ) スケール
µm Φ
< 63 > 4
63 4
125 3
250 2
500 1
1000 0
2000 -1

参考文献

レーザー回折式分析:
マルバーン: http://www.malvern.co.uk
ベックマン・コールター: http://www.beckman.com/products/instrument/partChar/pc_ls230.asp
マイクロトラック: http://www.microtrac.com/products1.htm#The%20New%20S3000%20Analyzer

追加情報: http://ciks.cbt.nist.gov/~garbocz/nist6883/node3.htm&nbsp;
"The basic principles of particle size analysis". マルバーン社のアラン・ローリー博士が書いた内部資料です。上のウェブサイトからダウンロードできます。

ふるい分け:
乾式・湿式のふるい分け手法に関する詳細情報:
http://www.retsch.de/downloads/tr_sieving_chemical_engineering_0301_en…
http://ciks.cbt.nist.gov/~garbocz/nist6883/node7.htm

沈殿法:
マイクロメトリック: http://www.micromeritics.com/products/sedigraph_overview.aspx&nbsp;
沈殿法に関する詳細情報: http://ciks.cbt.nist.gov/~garbocz/nist6883/node6.htm

顕微鏡分析:
ファーマビジョン: http://www.malvern.co.uk/LabEng/products/pharmavision/pvs_830.htm

電気的検知帯法:
ベックマン・コールター: http://www.beckmancoulter.com/products/instrument/partChar/pc_multisize…;
詳細情報: http://ciks.cbt.nist.gov/~garbocz/nist6883/node4.htm

屈折率:
詳細情報: http://ciks.cbt.nist.gov/~garbocz/nist6883/node3.htm&nbsp;
Kerr, P.F., 1977. Optical Mineralogy. McGraw-Hill Book Company, New York, London, pp 492.

“直径”の解釈の概要:
http://www.micromeritics.com/products/article_interpretation.aspx

ボロノイ分割:
Bonadonna, C. and Houghton, B.F., 2005. Total grainsize distribution and volume of tephra-fall deposits, Bulletin of Volcanology, 67:441–456.


謝辞

このガイドラインは、IVHHNの専門家メンバーによる研究班が執筆しました。 IVHHNは関連会合へ支援をしていただいた英国リバーハルム財団に感謝いたします。

IVHHNは、このガイドラインの文書を精査していただいた下の方々にも感謝いたします。
Andrew Maynard博士(米国・国立労働安全衛生研究所/シニアサービスフェロー)
Costanza Bonadonna博士(米国・南フロリダ大学/火山学助教授)